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OD調査にはどんな意味があるの?国勢調査との違いやデータの活用方法についても解説

OD調査という調査票が届き、「何だろう?怪しいのでは?」と感じていませんか。OD調査は国土交通省が実施する重要な交通調査ですが、普段あまり聞き慣れないため戸惑う方もいるでしょう。
本記事では、OD調査の意味や目的や国勢調査など他の統計調査との違い、データの活用方法について解説します。これを読めば、OD調査への疑問や不安が解消され、安心して対応できるようになるでしょう。
OD調査とは

OD調査とは、Origin(出発点)とDestination(到達点)の略で、人や車が「どこからどこへ」移動したかを調べる、国土交通省が実施する交通実態調査です。5年に1度ほど全国で行われ、その結果は将来の道路改良や交通政策の基礎資料として活用されます。
- 定期的に国土交通省が行う交通実態調査
- 対象となる人は無作為に選ばれる
定期的に国土交通省が行う交通実態調査
OD調査は、おおむね5年毎の秋季(9~11月)に全国一斉で実施される国土交通省の交通実態調査です。
道路交通センサスとも呼ばれ、総務省から一般統計調査として承認を受けた国の公式な統計調査となっています。なお、直近では令和7年(2025年)の9~11月に実施予定です。
対象となる人は無作為に選ばれる
OD調査では、全国の自動車保有者の中から統計的に無作為抽出された一部の方だけが対象となります。
自家用車を持つ世帯など約20世帯に1世帯程度(全国の車両数の4~5%)の割合で選ばれる計算で、地域によってはさらに低い確率です。なお、緊急車両など一部の車両は対象外となっています。
その他の統計調査との違い

国や自治体による他の統計調査も多数実施されていますが、OD調査と混同しやすいものもあります。
ここでは、全国道路・街路交通情勢調査、住宅・土地統計調査、国勢調査との違いを解説します。
- 全国道路・街路交通情勢調査との違い
- 住宅・土地統計調査との違い
- 国勢調査との違い
全国道路・街路交通情勢調査との違い
全国道路・街路交通情勢調査は、道路の混雑度や通行量を全国的に把握し、道路計画に反映するため国土交通省が5年ごとに行う総合調査です。OD調査はその中で自動車の起終点を記録する部分にあたり、目的や実施主体が同じため本質的に同一の枠組みです。
調査票や回収方法に細かな違いはありますが、得られた統計は共通の基準で解析され、道路政策や渋滞対策の基礎資料となります。結果は各自治体にも提供され地域施策に役立ちます。
住宅・土地統計調査との違い
住宅・土地統計調査は総務省統計局が5年ごとに実施する基幹統計で、住宅数や空き家率、世帯構成、土地利用の実態を把握する目的があります。調査対象はすべての住宅・世帯であり、人や車の移動を調べるOD調査とはテーマもデータ内容も異なります。
得られた統計は住宅政策や都市計画、空き家対策などに活用され、交通分野には直接は用いられません。そのため設問項目も建物の種類や築年数など不動産関連が中心となります。
国勢調査との違い
国勢調査は総務省が5年ごとに全国の全世帯を対象に実施する基幹統計で、日本の人口や世帯構成、就業状況などを把握することが目的です。統計法により回答義務が課せられ、虚偽や未回答には50万円以下の罰金が定められています。
一方、OD調査は自動車所有者の一部を無作為抽出して行う一般統計で、回答は任意です。罰則はありませんが、協力率が低いと交通計画の精度が下がるため、社会貢献としての参加をするようにしましょう。
OD調査の回答方法

OD調査の回答方法としては、紙のアンケート用紙(郵送)による方法と、インターネット上でのオンライン回答の2通りが用意されています。それぞれの概要を見てみましょう。
- 紙のアンケート
- オンラインでの回答
紙のアンケート
紙のアンケート用紙による回答では、届いた調査票に記入し、同封の返信用封筒で郵送します。ネット上での回答が苦手な方でも安心して協力できるよう、当初から郵送方式も用意されています。
オンラインでの回答
オンラインで回答する場合は、調査票に記載された専用サイトにアクセスし、ログインIDとパスワードを入力して回答します。スマートフォンやパソコンから利用でき、郵送の手間なく提出できます。
OD調査を用いて集めているデータ

OD調査では、人の移動や車の走行に関する様々なデータが収集されます。例えば、人々の移動経路や車の出発地点と到着地点(起終点)、さらには物流の流れに関するデータなどです。
- 人の移動について
- 自動車の終起点について
- 物流について
人の移動について
OD調査では、人々がいつ・どこからどこへ・どの交通手段で移動し、何を目的に出発したのかまで詳細に記録します。例えば、自宅を08時に出発し08時30分に職場へ到着した通勤の場合、出発地と目的地、経由地の有無、出発・到着時刻、移動目的を紐づけて把握することが可能です。
データを積み重ねることで、市区町村別の人流ピークや混雑時間帯、行動圏を可視化できます。さらに、徒歩や公共交通機関への乗り換え状況も追跡でき、モビリティ解析に役立ちます。
自動車の終起点について
自動車がどの地点から走り始め、どこで走行を終えたか(起点・終点)を細かく把握することで、道路網上の交通需要や流動パターンを立体的に可視化できます。郊外の住宅地から都心部へ向かう朝の集中流や、観光地へ向かう週末の行楽ルート、深夜帯の物流専用路線なども定量的に確認可能です。
得られた終起点データは渋滞緩和策やバイパス整備計画、公共交通ダイヤの最適化などに活用され、季節や天候による変動まで把握できます。
物流について
貨物輸送に焦点を当てたOD調査では、トラックがどこで荷物を積み、どこで降ろしたか、走行距離や所要時間、車種・荷種まで収集します。製造拠点から港湾への搬出、倉庫から小売店への配送、EC物流の最終拠点など多様な物流ルートを数値化します。
地域間の貨物流動量やボトルネック区間を可視化することで、共同配送ルートの設計や積載率の向上、省エネ走行支援、CO2排出削減施策などサプライチェーン全体の最適化に活用可能です。
OD調査によって得られたデータの活用方法

OD調査で収集されたデータは、行政の交通計画はもちろん、企業のマーケティングなど様々な分野で活用されています。以下ではその具体的な活用例を紹介します。
- 顧客の来店傾向の分析
- 交通量の分析
- 位置情報を元にしたジオターゲティング広告の活用
顧客の来店傾向の分析
ODデータを分析することで、自社店舗に来店する顧客が「どの地域から」「どの交通手段で」訪れているか、さらには年代層や性別などの属性を把握することができます。
例えば、ある店舗に電車で来店する若年層が多いことがわかれば、その沿線地域で広告を強化するといった戦略立案が可能です。来店者の移動傾向を知ることで、マーケティング施策や出店計画にも活用できます。
交通量の分析
ODデータは交通量の分析にも利用されます。出発地と目的地の情報を集計することで、どの道路や地域において車や人の流れが多いかを把握できるためです。この分析結果は、渋滞が発生しやすい箇所の特定や、道路網の整備計画に活かされます。
例えば、ODデータから特定の幹線道路に交通が集中していることが判明すれば、バイパス道路の新設や信号制御の見直しといった対策を検討できます。
位置情報を元にしたジオターゲティング広告の活用
OD調査で得られた人流データは、位置情報に基づくジオターゲティング広告にも活用できます。例えば、来店者分析の結果をもとに、特定の地域からの来訪者が多い場合には、その地域のユーザーに絞ってオンライン広告を配信するといったことが可能です。
このように、ODデータをマーケティングに応用することで、広告効果を高め、効率的な集客戦略を展開できます。
OD調査に関するよくある質問

ここからは、OD調査に関して多くの人が抱く疑問についてQ&A形式で解説します。
- Q. OD調査は何を調査するものですか?
- Q. 誰がどのような人を対象に調査するのですか?
- Q. OD調査の対応は義務化されていますか?
Q. OD調査は何を調査するものですか?
OD調査は、自動車の移動実態を調べるための国土交通省による交通調査です。具体的には、ある一日の自家用車の利用状況を調査し、どこからどこへ移動したか、出発・到着時刻や移動目的(通勤・通学・買い物など)を把握します。
これにより、人や車の流れを明らかにし、道路整備や交通政策の基礎資料とすることが目的です。
Q. 誰がどのような人を対象に調査するのですか?
この調査は国土交通省が実施主体となり行われます。対象者は、全国の自動車保有者の中から統計的手法で無作為に選ばれた一部の方々です。
具体的には、全国の登録自動車の約4~5%程度(20台に1台)の車両所有者が対象となり、緊急車両など一部の車は除外されています。
Q. OD調査の対応は義務化されていますか?
OD調査への回答は法律上の義務ではありません。OD調査は統計法に基づく一般統計調査であり、国勢調査のような基幹統計調査とは異なり、回答を拒否しても罰則は科されない形式となっています。
ただし、国の交通政策に重要なデータとなるため、可能な限り協力することが望ましいとされています。
OD調査は、将来の道路計画や交通政策に欠かせない貴重なデータを集める重要な調査です。国勢調査など他の統計調査とは異なり、回答は義務ではありませんが、一人ひとりの協力が地域の交通の未来を左右します。
調査対象に選ばれた場合は、インターネットまたは郵送で正確に回答し、街づくりに貢献すると良いでしょう。なお、偽物の調査には十分注意し、公式発表や差出人を確認することが大切です。OD調査への理解を深め、安心してご対応いただければ幸いです。
まとめ:Datawise Area Marketer を活用しデータドリブンな未来戦略立案を
ODデータ(人流・物流データ)は、都市開発、インフラ整備、運送業務、および企業の立地戦略を成功させるための重要情報です。 既存のデータ活用に加え、情報が不足している領域については「人流分析ツール」の活用が大いに役立ちます。 客観的根拠に基づく戦略の迅速な策定を目指すなら、人流分析ツール「Datawise Area Marketer」がおすすめです。
「Datawise Area Marketer」は、ドコモGPSデータを活用し、お客様が必要とするピンポイントな人流データを収集・分析することで、マーケティングを強力にサポートします。
「Datawise Area Marketer」で取得できる人流データ
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