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2025年 人気紅葉スポットを人流データで振り返る

先月11/14に公開した「2024年 人気紅葉スポットを人流データで振り返る」に続き、今回は Datawise Area Marketer を用いて2025年の人気紅葉スポットの動きを 2024年のデータと比較しながら紐解いていきます。

調査概要

対象スポット

以下の7つの人気紅葉スポットについて調査しました。

  • 鳴子峡(宮城)
  • 日光 華厳の滝(栃木)
  • 明治神宮外苑前(東京)
  • 国営昭和記念公園(東京)
  • 香嵐渓 (愛知)
  • 瑠璃光院 (京都)
  • 嵐山 渡月橋(京都)

期間

調査対象期間は、前回と同様に来訪者数が最も多い7日間を選定しました。

対象スポット 2024年 2025年
鳴子峡 10/31(木)-11/6(水) 11/1(土)-11/7(日)
日光華厳の滝 11/3(日)-11/9(土) 10/30(木)-11/5(水)
明治神宮外苑前 11/27(水)-12/3(火)  11/21(金)-11/27(木)
国営昭和記念公園 11/22(金)-11/28(木) 11/18(火)-11/24(月)
香嵐渓 11/23(土)-11/29(金) 11/20(木)-11/26(水)
瑠璃光院  11/20(水)-11/26(火) 11/21(金)-11/27(木)
嵐山 渡月橋 11/27(水)-12/3(火) 11/22(土)-11/28(金)

対象データ

本調査では、以下の4つの観点からデータを分析しました。

  • 来訪者の男女比
  • 年代構成
  • 商圏自宅
  • 時間帯推移

調査1:来訪者の男女比

まず、各地の来訪者の男女比を見てみましょう。

下記の表では、各観光スポットにおける来訪者の男女比について、年ごとの差が一目で分かるよう色分けを行っています。赤字は2025年の割合が2024年を上回った性別を示しており、青字は2024年の割合が2025年より高かった性別を示しています。

対象スポット 2025年 2024年
男性 女性 男性 女性
鳴子峡 51% 49% 47% 53%
日光華厳の滝 49% 51% 49% 51%
明治神宮外苑前 51% 49% 52% 48%
国営昭和記念公園 52% 48% 53% 47%
香嵐渓 46% 54% 44% 56%
瑠璃光院 37% 63% 37% 63%
嵐山渡月橋 49% 51% 48% 52%

2024年と2025年を比較すると大きな変化は見られませんが、鳴子峡では男性の来訪者が4%増加していることが分かります。さらに、2021年から2023年のデータを振り返ると、鳴子峡では男性来訪者の割合が年々増えてきた傾向も見られます。

このように、鳴子峡の来訪者層が緩やかに変化し続けていることがうかがえます。

調査2:来訪者の年代構成

次に、来訪者の年代構成についてみていきましょう。

対象スポット 2025年 2024年
1位 2位 3位 1位 2位 3位
鳴子峡 70代~ 60代 50代 60代 70代~ 50代
日光華厳の滝 60代 50代 70代~ 60代 70代~ 50代
明治神宮外苑前 50代 60代 70代~ 50代 60代 70代~
国営昭和記念公園 50代 60代 70代~ 50代 70代~ 60代
香嵐渓 50代 60代 70代~ 70代~ 60代 50代
24% 24% 23% 26% 25% 22%
瑠璃光院 50代 60代 70代~ 60代 50代 70代~
嵐山 渡月橋 50代 60代 70代~ 70代~ 60代 50代

2024年と同様に、いずれの紅葉スポットでも50代から70代が中心でした。

京都府にある「瑠璃光院」と「嵐山 渡月橋」では、いずれも50代の来訪者が最も多いという結果になりました。
この背景には、調査対象となった期間に3連休が含まれていたことが影響していると考えられます。仕事を持つ世代である50代の来訪が増えており、まとまった休みを利用して旅行や紅葉観賞に出かけた方が多かったのではないでしょうか。特に、落ち着いた雰囲気と見どころの多い京都の名所は、忙しい日常の合間に「少し贅沢な時間」を過ごしたい世代にとって、魅力的な選択肢となっていることがうかがえます。

調査3:来訪者数時間帯推移

続いて、来訪者がどの時間帯に集中していたのかについて、2024年と2025年のデータを比較しながら確認していきます。

対象スポット 1位 2位 3位
鳴子峡 2024年 12時台 10時台 11時台
2025年 11時台 10時台 13時台
日光華厳の滝 2024年 12時台 10時台 13時台
2025年 13時台 10時台 12時台
明治神宮外苑前 2024年 11時台 13時台 14時台
2025年 13時台 11時台 14時台
国営昭和記念公園 2024年 10時台 11時台 12時台
2025年 10時台 11時台 12時台
香嵐渓 2024年 10時台 9時台 13時台
2025年 10時台 9時台 11時台
瑠璃光院  2024年 11時台 12時台 15時台
2025年 10時台 9時台 12時台
嵐山 渡月橋 2024年 10時台 9時台 12時台
2025年 11時台 10時台 13時台

来訪者数時間帯推移についても、2024年次と同様にお昼の時間帯を中心に多くの来訪者が紅葉スポットに訪れていることが確認できます。

瑠璃光院では、「お昼前」「お昼ごろ」「14~15時ごろ」の3つの時間帯で来訪者数のピークが見られました。その中でも、「14~15時ごろ」は2024年と比べて2025年は来訪者が落ち着いており、全体的に訪問時間が前倒しになっていることが分かります。

この傾向は、2025年の対象期間(11/21〜11/27)に3連休が含まれていたことが影響していると考えられます。混雑を避けたい観光客が早い時間帯を選んだほか、複数の観光地を巡りたいというニーズの高まりも、来訪が前倒しになった要因のひとつと考えられます。

さらに、平日と休日で来訪者数の時間帯推移に違いがあるのか調べてみました。

鳴子峡                       香嵐渓


鳴子峡・香嵐渓では、休日の方がより早い時間帯から来訪していることが分かります。

また、鳴子峡では休日において朝の早い時間帯から来訪者数が多く、午前中にかけて高い水準を維持している点が特徴的です。休日は1日の行動開始が早く、午前中を中心に訪問が集中していることが読み取れます。

調査4:商圏自宅

最後に、来訪者がどの地域から訪れているのかを調査しました。

ここでは、表に2024年と2025年の来訪者数上位5都道府県を、それぞれランキング形式でまとめています。2024年と2025年で都道府県別来訪者の商圏自宅を確認すると、ほとんど傾向は変わっていないことが確認できます。

その中でも鳴子峡では、来訪者数トップ5を確認すると2024年と同様に「宮城県」や「岩手県」からの来訪が多くを占めていました。一方で、下記の表で緑字で示した関東圏からの来訪者はやや増加傾向でした。

対象スポット 1位 2位 3位 4位 5位
鳴子峡 2024年 宮城県 山形県 東京都 岩手県 神奈川県
2025年 宮城県 山形県 東京都 埼玉県 神奈川県
日光華厳の滝 2024年 埼玉県 東京都 栃木県 千葉県 神奈川県
2025年 埼玉県 東京都 千葉県 栃木県 神奈川県
明治神宮外苑前 2024年 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 愛知県
2025年 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 愛知県
国営昭和記念公園 2024年 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 静岡県
2025年 東京都 神奈川県 埼玉県 千葉県 山梨県
香嵐渓 2024年 愛知県 静岡県 岐阜県 東京都 神奈川県
2025年 愛知県 静岡県 岐阜県 東京都 神奈川県
瑠璃光院 2024年 大阪府 東京都 愛知県 兵庫県 京都府
2025年 東京都 大阪府 京都府 兵庫県 愛知県
嵐山渡月橋 2024年 京都府 大阪府 兵庫県 東京都 愛知県
2025年 京都府 大阪府 兵庫県 東京都 愛知県

実際に、鳴子峡において来訪者数トップ20のデータを用いて東北地方と関東地方の来訪者割合を2024年と2025年で比較したところ、次のような結果となりました。

上記のグラフ(鳴子峡 地域別比較)より東北地方からの来訪者は 2.74% 減少し、関東地方からの来訪者は 1.36% 増加していたことが確認できます。このように、東北からの来訪がわずかに減少する一方で、関東圏からの来訪が増加している傾向が見て取れます。

また、下記のグラフ(瑠璃光院京都府内来訪者数推移)より瑠璃光院では京都府内からの来訪者数が約5.2%増加していることが読み取れます。このようなことから、日帰りお出かけスポットとしても注目されていると考えられます。

下記のグラフより都道府県別商圏自宅のデータを確認すると、栃木県からの来訪者は全体の10.19%を占め、来訪者数は4番目に多い結果となりました。

日光華厳の滝について都道府県別からさらに細分化し、市区町村データを確認すると以下のような結果が見られました。

1位 2位 3位 4位 5位
市区町村 宇都宮市(栃木県) 日光市

(栃木県)

小山市

(栃木県)

柏市

(千葉県)

足田区

(東京都)

割合 2.78% 1.9% 1.64% 1.32% 1.05%

このように、市区町村別に確認すると、上位3位はいずれも栃木県内の市区町村であり、上位20位以内に含まれる栃木県内の市区町村は「宇都宮市・日光市・小山市」のみでした。
このようなことから県内からの来訪者が特定の地域に集中していることが分かります

さらに、国営昭和記念公園についても市町村別データをみてみましょう。

1位 2位 3位 4位 5位
市区町村 立川市

(東京都)

昭島市

(東京都)

八王子市

(東京都)

青梅市

(東京都)

武蔵村山市(東京都)
割合 2.78% 1.9% 1.64% 1.32% 1.05%

国営昭和記念公園については、来訪者の特徴が他のスポットと比べて特にわかりやすく表れていました。市区町村別のデータを確認すると、上位20位のすべてが東京都内で占められており、来訪者が周辺エリアに“集中”していることが明確に読み取れます。

以下の分析画面より対象スポット周辺からの来訪者が多いことが確認できます。

一方で、2024年の国営昭和記念公園の市区町村別来訪データを確認すると、上位20位のうち19市区町村が東京都内で占められており、唯一の例外は19位に入った埼玉県所沢市のみでした。

さらに、同じく都内の紅葉スポットである「明治神宮外苑前」では、2024年と2025年ともに来訪者の多くは東京都内であるものの、市区町村別の上位20位の中には「千葉県市川市」「千葉県船橋市」「神奈川県横浜市青葉区」と近隣県の地域も含まれていました。

まとめ

人流データをもとに2025年の人気紅葉スポットにおける来訪者の傾向を振り返りました。
その結果、来訪者の中心は50代〜70代である点は前年と同様であり、来訪時間帯は平日・休日ともに午前中から昼過ぎにかけて集中していることが分かりました。特に休日は、朝の早い時間帯から多くの来訪者が訪れる傾向が見られます。

また、商圏分析では、各スポットともに立地に近い地域からの来訪が多い一方で、都市部や近隣県からの広域集客も確認されました。都道府県別では目立ちにくい地域であっても、市区町村別に細分化することで、来訪者が特定のエリアに集中している実態が明らかになりました。

このように、Datawise Area Marketerを用いることで、人流データを多角的に分析することで、対象スポットの特性や来訪者行動の違いをより具体的に捉えることができます。

データワイズでは、人流データを通じて人々の行動や地域の変化を可視化し、地域・商業施設・小売事業者の皆さまが、より的確な販促・出店・運営判断を行えるよう支援しています。

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