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EBPMとは?自治体の導入事例とEBPM推奨のポイントをわかりやすく解説

EBPMとは?自治体の導入事例とEBPM推奨のポイントをわかりやすく解説

昨今、国が推進していることで注目が高まっているEBPM。
取り組んでいる行政機関や自治体などが増えていく一方で、「EBPMって最近よく耳にするけど一体どんなものなの?」と疑問を抱えている方も多く居ます。

そこで本記事では、改めてEBPMとは何か、また取り組むことでどんな効果が得られるのかをわかりやすく解説すると共に、弊社が提供するサービスとの関連性と活用方法について事例を踏まえてご紹介致します。

この記事を読んでわかること

  • EBPMとは何か
  • EBPMがもたらす効果とは?
  • EBPMにおける人流データの活用方法

 

EBPMとは何か?その目的や得られる効果をわかりやすく解説

EBPMとは(Evidence・Based・Policy・Making/エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング)の略称で、日本語では「証拠に基づく政策立案」と定義されています。
わかりやすく言えば、見たり聞いたりした情報やこれまでの経験に頼った政策の立案方法では、その政策そのものや効果の分析が不十分であるとされていることから、しっかりと証拠やデータに基づいた政策立案をしていき、「行政に対する国民の信頼を高めていきましょう」という施策になります。

これは日本国内だけの取り組みではなく世界的に推進されているもので、EBPMの取り組みが比較的進んでいる欧米諸国に比べ、日本では未だに経験などに頼った政策立案や分析が行われていると指摘されていました。

そうした背景から内閣府を中心にEBPMを推進する動きが加速し、現在各所で注目を集めているという流れになります。

EBPMについて少しご理解頂けたところで、実際にどんな取り組みが推奨されているのかを、

  • 地方自治体
  • 医療分野

の観点から解説していきます。

尚、ここからは証拠や根拠を「エビデンス」と表現します。

 

EBPM推奨のポイント〜地方自治体〜

各地域の自治体では主に観光の分野での効果を期待されています。
観光と一括りにしましたが、観光産業は総合産業とも言われる通り、宿泊施設や飲食店をはじめ様々な産業が含まれます。
しかしながらこれまでは、観光スポットのシーズンピークであったり、大規模な催し事の際の来訪者の数や、そこで使われた消費額などの直接的な情報は分析するものの、それらに付随した間接的な施設などのデータまでを分析することは多くの自治体が困難と捉えていました。

それは例えば、観光施設に去年よりも多くの人が訪れた場合「何故今年は去年よりも多くの人が訪れたのか?」という疑問が沸きますが、それに対して明確な答えを導き出せないということになります。

EBPMに取り組むことでこのようなことは解決できるとされています。

細かく分析した、あらゆるエビデンスから現状の課題を洗い出し、政策課題を決め、それに対する人員や活動規模を決めることができ、それによってどのような効果があったのかを明確にできます。

次回以降の政策立案に繋がっていくのはもちろん、関連する産業や来訪者の信頼を高めることになります。

このような点から自治体にとってEBPMは推奨されるべきものとされています。

 

EBPM推奨のポイント〜医療分野〜

そもそも医療にはEBM(Evidence・Based・Medicine)という考え方があり、EBPMのEvidence・Basedはそこから派生したものと言われています。

医療のシーンにおいてはエビデンスというのはとても重要なものです。
TVドラマなどで経験や勘を頼りに大きな手術を成功する主人公などが描かれたりしますが、こと自分に置き換えてみると、これまでの様々なエビデンスから行われる施術とそうでない施術とでは信頼感も安心感も大きく違ってきます。

もちろんそういった部分の話だけではなく、EBPMに取り組む前後では医療の成果も大きく関わってくるとされています。

また医療行為そのものだけでなく、例えば実際にあった例では、診療報酬明細のデータなどから医療費が増加してしまう傾向にある持病を持つ患者を見つけ、個別指導などを行い実際に医療費を抑えるように導いたなどの成果も挙げられています。

 

EBPMが注目されるのはなぜ?従来の政策立案の問題点と課題

EBPMが注目され始める以前は政策の効果を分析することが簡単ではありませんでした。
従来用いられていた効果を分析する方法といえば、政策立案をしそれを実行したのちに予め設定した成果の指標を基準に実績を検証するしかありませんでした。

ですが先述した自治体の例のように、その成果が果たして何を効果にしたものなのかをエビデンスで示す事ができないことが課題としてありました。

また、昨今のように民意や社会情勢、その他様々な状況を把握しきることも容易ではなかった為、偏った意見や方針によって政策立案が行われる現実がありました。

つまり時代の変化に合わせて、これらの状況を改善するEBPMの注目が高まってきたと言えます。

その点について次の項目でさらに深掘りしていきます。

 

EBPM推奨の背景にあるICTの急激な進化〜ビッグデータ・AI・SNS・IoT〜

EBPM推奨の背景にあるICT(Information and Communication Technology/インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)とは日本語で訳すと「情報通信技術」となります。
ITの発達が加速する現代では様々な情報を取得する事が可能となり、それによってより多くのエビデンスを示す事が可能となりました。

AI技術の成長からなるビッグデータや、誰もに馴染みのあるSNS、近年急成長しているIoT(※1)などもEBPMには有効となります。これらは実社会のリアルな動きや人々の関心などを把握するのに最適だからです。

活用方法は様々ですが、政策立案の際のエビデンスを多く集める事が可能な現代だからこそのEBPM推奨というわけです。

弊社が提供するDatawise Area Marketer(位置情報分析ツール)もまさにその一つで、すでに自治体などで導入し、ご活用いただいております。

 

※1・・・IoT(Internet of Things/インターネット・オブ・シングス)とは「モノのインターネット」と訳されます。インターネットは従来、PC端末やその他IT関連機器を経由して接続されていました。しかし現代ではモノから直接接続することが可能となり、より幅広い情報伝達が可能となりました。そうした、これまでインターネットに直接繋がっていなかったものを繋ぐことをIoTと呼びます。代表的な例ではスマートスピーカーやスマートホームなどです。

 

EBPMはAIの進化によるビッグデータの活用で実践可能に

AIの進化と共に、近年ビッグデータではこれまで収集が困難とされていた様々な情報の取得が可能となりました。
それらを可視化し、分析した情報をエビデンスとして示すことで、ここまでに説明してきた「信頼を高める」に繋げることができます。

 

EBPMに役立つ位置情報分析ツール・人流ビッグデータ

弊社が提供するDatawise Area MarketerはNTTドコモのビッグデータを利用した位置情報分析ツールです。
任意の時間帯やエリアの人の流れを細部まで分析する事が可能となります。

EBPMを実践していく上で必要となるデータの収集に大きく貢献する事ができ、すでに自治体などで導入、ご活用いただいています。

▼実際に導入頂いた徳島市の活用事例

データに基づく市政で街を活性化させる

 

EBPMを最も効果的に実践する為のロジックモデル

実際にEBPMの取り組みを行っていく上で最も効果を出す手順のことを「ロジックモデル」と言います。
ここからはそのロジックモデルをわかりやすく解説していきます。

 

EBPMにおけるロジックモデル

そもそもロジックモデルとはプログラム理論(定義:プログラムを実施することで、それがどのようなプロセスを経て、成果が現れるのかを表す仮説)を踏まえて、その仮説を明確に示す為の手段のことを言います。

EBPMにおいては具体的な政策の内容とそれによる効果を繋ぐ理論を示すためにロジックモデルを利用します。

 

EBPMのロジックモデルのイメージ

政策立案の効果の因果関係を示すには、

1. 現状、課題
2. インプット(投入)|予算、人員など行政活動を実施するために投入する資源
3. アクティビティ(活動)|投入資源を用いて行われる行政活動
4. アウトプット(産出)|行政活動の結果、生み出された財産やサービス
5. 直接アウトカム(直接成果)|アウトプット(産出)がもたらす直接的な成果
6. 中間アウトカム(中間成果)|直接アウトカム(直接成果)がもたらす次なる成果
7. インパクト(最終成果)|政策(施策・事業)が目指す最終成果

こうした構成によって5〜7の項目にある成果、つまり政策によって国民生活及び社会経済に及ぼし、又は及ぼすことが見込まれる影響の因果関係を解くものとなります。

参考:総務省(https://www.soumu.go.jp/main_content/000734311.pdf

 

EBPMの実践・導入事例

日本最大規模の阿波踊りが有名な徳島市では、より質の高い行政サービスを提供するためにEBPMを実践しています。

阿波踊り開催時は4日間で延べ130万人の方が全国から集結します。そういった大きな催しの際の街への影響や交通事情などを可視化することで今後の政策に活かすことが可能となります。

従来はその数字を人の手で集計するしかありませんでしたが、その場合では天候による集客の変動や関連施設の来訪者数、それによる影響までを可視化することはとても困難でした。

そこで徳島市は弊社が提供する位置情報データ分析ツール「Datawise Area Marketer」を導入しました。

Datawise Area Marketerは会員数8,700万人以上を誇るドコモdポイントクラブアプリの位置情報データを活用し、時間帯や場所ごとに、どの年齢や性別の人が何人いるか、またどのような動きをしているかなどの人流データを分析し、さらに任意の場所の経年での変化や交通量などの情報も得る事ができ、EBPMを推進していく上で重要となるデータを集めることが可能です。

実際に徳島市も、これまで分析が困難とされていた、より正確な来場者数の計測、周辺施設や道路の混雑状況などをしっかりと可視化し情報を集めることに成功しました。

今後はそのエビデンスを元に政策立案を行っていくことが可能となりました。

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EBPMは今後の社会に当たり前となるのか

改めて本記事では「EBPMとは何か?」「どんな内容でどんな効果をもたらすのか」などを、

  • EBPMとは何か
  • EBPMがもたらす効果とは?
  • EBPMにおける人流データの活用方法

の観点から解説させて頂きました。

改めて、EBPM(証拠に基づく政策立案)とは、経験や勘などに頼るのではなく、しっかりとエビデンスを示し明確な目的を持った政策立案をすることです。昨今、注目が高まっている背景は様々ですが、その中でもICTの進化が後押しになっていると言われています。
弊社の提供するDatawise Area MarketerもEBPMの推進に貢献するサービスとなっており、すでに徳島市など地方自治体の実践に活用されています。

EBPMは、その取り組みを推進していることから今後ますます注目を集め、国はもちろん各行政機関においてもますます実践されていくと考えられます。

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